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インチアップのメリットを片っ端から否定してしまって、ちょっとみなさんがっかりしてしまっているかと思います。
フォローというわけではないですがここで一つ、あまり広く知られていない、インチアップのもう一つのメリットについてお教えしておきましょう。
タイヤは丸いものです。当然ですね。ですが実際に車に取り付けると、車の重みで一部分が撓んで(たわんで)しまいます。ですが、インチアップをするとこの撓みが小さくなります。これはインチアップのメリットの話で簡単に説明したことなのですがもう一度。
タイヤは側面の部分(サイドウォールと呼ばれる部分)が柔らかく作られています。段差などではここがグニャッと変形することで衝撃を緩和して乗り心地を良くしてくれるのです。ところが、インチアップをするとこのサイドウォール部分が短くなってしまいます。サイドウォールの短いタイヤはサイドウォール部が非常に硬く(頑丈に)作ってあります。つまり撓みが少ない。
先のページ(「インチアップのメリット」→「インチアップで走りの性能が変わる!」、及び「メリットは実はデメリット」→「インチアップをしてもスポーツカーにはならない?」参照)でお話したのは、それが原因でインチアップをした普通の車がスポーツカーになるとかならないとかいうことでした。
ではもう一つのメリットとは何か。
車でドライブの途中、タイヤに触ったことはありますか?
高速道路のサービスエリアなどで、休憩している時にちょっとタイヤに触ってみると、炊きたてのご飯をよそったお茶碗くらいに熱くなっていることがあります。これは別に日があたったからとか、路面が熱くなっているからとか、そういうことではありません。
タイヤはゴムでできていて、それが一部分常に撓んでいます。タイヤが回転するにつれて撓む部分も回転しています。つまり、車が走っている間、タイヤは変形し続けながら走っているのです。
ゴムが変形すると内部で摩擦が起きます。ひとかたまりに見えるゴムでも、そのゴムの中でゴムとゴムが擦れ合っているのです。この摩擦による熱は、車の速度が上がれば(タイヤの回転が速くなれば)どんどんと大きくなります。またタイヤ自体のたわみの量が大きければ、やはり大きくなります。逆に言えば、タイヤ自体のたわみを小さくすることができれば、熱の発生を抑えられるのです。
つまり、インチアップをすると熱が発生しにくい。
タイヤの熱というのはやっかいなもので、適度にタイヤが暖まる分には地面への食い付きが良くなったりして良い影響となるのですが、ある程度を超えると今度は逆に食い付きが悪くなったり、タイヤのゴムを傷めて寿命を早めてしまったり、悪いことが次々と起こるのです。
速い速度で走る車ほど、タイヤの熱には気を使わなければなりません。インチアップはタイヤの熱対策の一つの手段になります。ヨーロッパの自動車メーカーの車が純正でインチアップしてあることが多いのは、アウトバーンに代表されるような、高速巡行の多いあちらの交通事情によるものなのです。
ちなみに、タイヤのサイズ表記に速度記号というのがあります。(「タイヤサイズの読み方」及び、「タイヤ資料」→「速度記号一覧」参照)タイヤメーカーのカタログを見てもらえれば分かりますが、扁平率の低いタイヤほど高い速度の記号がついている傾向があります。これもまた、こういった熱に関する理由からなのです。
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