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インチアップのもう一つのメリットで低扁平タイヤ(ロープロタイヤ)は撓みが少ないという事を書きましたが、それについてもう少し詳しく説明しましょう。
タイヤのサイドウォールは路面の凹凸などに応じてしなやかに変形します。この撓みの量が大きいタイヤは乗り心地が良く、撓みが小さいタイヤは車の操縦性が良くなります。そして扁平率の低いタイヤほどたわみが小さくなりやすいのです。それは何故でしょうか。
ラジアルタイヤには、トレッド面にベルトが入っています(詳しくは「タイヤの構造あれこれ」→「ラジアルタイヤの構造」参照)。トレッド面を補強するとともにタイヤの構造を支える「たが」の役目もしているこのベルトが、低扁平タイヤでは幅広で強固なものになります。そのために短いサイドウォールは変形しにくくなり、撓みの小さなタイヤとなるのです。
また、低扁平のタイヤでは快適性よりも車の操縦性(スポーツ性)を謳った銘柄のタイヤが多く、そういったタイヤでは操縦性を高めるためにゴムの質やタイヤ内部の構造を変更して、タイヤ全体を硬く感じる(剛性感が高いと言います)ように作ってあったりもします。
市販のタイヤに関しては、ほぼ低扁平タイヤ=乗り心地の悪いタイヤということになります。しかし、作ろうと思えば低扁平で乗り心地の良いタイヤというのも可能なのです。
タイヤの断面はもともと丸いものです。70や80などの高い扁平率のタイヤを見ると、サイドウォールが緩やかにカーブを描いているのが見て取れます。それと比べると低扁平タイヤは、丸いタイヤを無理矢理いびつに変形させているのが分かります。
逆に考えれば、低扁平タイヤのカーカスなどに使われているタイヤを構成する材料は、無理な変形にも耐えられる、しなやかな素材を使っているということになります。タイヤの「たが」であるベルトの張りとタイヤの構造の強さ、ゴムやその他の構造と原材料といった要素を上手く調整してやれば、低扁平で乗り心地の良いタイヤというのも可能という理屈がここにできるのです。
ところで、扁平率55以下のタイヤにはよく、「リムガード」(メーカーにより呼び方はさまざま)がついています。これの役割は、名前からしてホイールのリムを保護するものと思われがちですが、これも本来の目的はサイドウォールの補強なのです。
たしかに路肩に幅寄せをする時など、縁石にタイヤを擦ってもホイールに傷が付かないようにする効果もあります。しかしもともとは、貧弱な低扁平タイヤのサイドウォールの変形を防ぐ補強材としての役割がその狙いです。
60扁平や65扁平でもリムガードが付いているタイヤもありますし、50扁平でもリムガードが付いていないタイヤもあります。
スポーツタイヤで剛性が欲しい銘柄では、さほど低い扁平率でないタイヤでもリムガードでサイドウォールを補強し、逆に乗り心地を良くしたいタイヤは低扁平でもリムガードをつけない。こんなところからも、タイヤ毎に設計の思想の違いがあることが分かりますね。
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