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インチアップのデメリットの話で出て来た話ですが(「メリットは実はデメリット」→「インチアップをしても車は安定しない?」参照)、幅の広いタイヤでは路上のほんの少しの障害物でも走行に影響します。路上にたまったわずかな雨水も、幅広タイヤにとってみれば深刻な障害物です。特に低扁平のタイヤは、雨に弱いという特徴を持っています。
低扁平タイヤはたわみが少ないという性質があります。たわみが少ないということは、タイヤの接地面が前後方向に短いということ。ここまでは説明した話ですね。(「タイヤの撓みに隠された謎」→「低扁平タイヤと高扁平タイヤ」参照)
そしてタイヤは雨の中で、タイヤ自身の溝に雨水を逃がすことで、雨の中でも安全に走ることができるようにしています。ここまでは前々ページ(「タイヤの溝に見るゴムの性質」→「溝のないタイヤはなぜ危ない?」)で説明した話です。
この2つの話についてよく考えてみると、低扁平タイヤは雨に弱いという事実が見えてきます。
タイヤのある一点が路面と接する時間はほんの一瞬です。その一瞬の間に、タイヤのゴムは車の動き、エンジンの力やハンドルからの操作を地面に伝えるわけですが、路面に水がたまった状態ではさらに路面の雨水を除去するという仕事が増えます。
ある条件で仮に、タイヤのある一点と路面が接する時間が1/10秒だったとしましょう。雨が降ると、その1/10秒のうち、最初の4/100秒くらいは雨水の除去に使われることになるでしょう。すると、タイヤが地面と接する時間は6/100秒です。だから雨の日はスリップしやすいのです。
さて、ではこの車でインチアップをするとどうなるか。インチアップをするとタイヤのたわみが小さくなるので、接地面の前後方向が短くなります。つまり、タイヤのある一点が地面と接する時間がさらに短くなる。 直径が同じタイヤを使っても、インチアップ後ではタイヤと地面の接する時間が7/100秒になってしまいます。そこにさらに雨が降ると、これまた雨水の除去で4/100秒が使われてしまうので、タイヤが地面と接する時間は3/100秒。これではブレーキも効きませんね。
低扁平タイヤの高性能は、あくまで障害物の無い鋪装された道で、雨が降っていないことが前提になるということがお分かり頂けましたでしょうか。
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