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 ここで一旦溝の話から離れて、ちょっと高校の物理の復習をしてみましょう。

 物と物が接すると、その間に摩擦力が発生します。この摩擦力は物同士が接している面の状態と、物同士が接する力(押し付けあう力)によって決まります。
 つまり、接する面がお互いに凹凸のまるでないツルツルの面、例えばきれいに磨かれた鏡のようなもの同士で接した場合にはほとんど摩擦力は発生しませんが、ザラザラの面、例えば紙ヤスリなどではとても大きな摩擦力が発生します。また、物同士が押し付けられる力にも比例して大きくなりますので、例えば物の上に物を置いた場合の摩擦力では、上に乗った物の重さで摩擦力の大きさが変わります。

  基本的に物体(固形物)の間に働く摩擦力の大きさを決める要素は、この二つだけですが、ゴムの場合には話が変わってきます。
 物同士が接したとき、例えばタバコの箱をテーブルの上に置いたら、見た目にはタバコの箱の全体でテーブルに接しているように見えます。しかし実際には、顕微鏡レベルの小さな世界で見てみると接しているのはほんのわずかな面積。テーブルもタバコの箱も、表面には目に見えない凹凸が多くあります。テーブルとタバコの箱、お互いの凹凸がうまくかみ合った、ほとんど点のような部分だけで摩擦力が発生しますから、どんなに大きな物同士が接しても、接する面積は摩擦力に関係ありません。

 しかしこれがゴムになると全く話が違ってきてしまいます。ゴムはしなやかに変形しますので、接する相手の形に合わせてその表面の凹凸の形が変わります。すると、点同士で接する普通の摩擦とは違い、同じ面積で接しても普通より格段に大きな摩擦力が、しかも接する面積に比例して大きくなります。

 タイヤの接地面積が広くなれば広くなるほど路面との摩擦力が大きくなるということは当たり前のように思えて、実はゴムの特殊な性質によって成り立つものだということがお分かりいただけたでしょうか。

 このような、物同士が接する面でおこる摩擦のことを凝着(ぎょうちゃく)摩擦(アドヒージョン)と呼びますが、その他にゴムだけの性質としてさらに、変形損失摩擦(ヒステリシスロス)、掘り起こし摩擦というものがあります。
 ゴムは外から力をかけると変形します。そして変形したゴムは当然、元の形に戻ろうとします。この元に戻ろうという力が、タイヤ表面の摩擦力を増幅させます。これがヒステリシスロス。実際のところタイヤの摩擦力は、このヒステリシスロスに因るところが大きいのです。
 掘り起こし摩擦というのはタイヤが削れておこる摩擦。ゴムはしなやかに変形するものなので、その変形した時に削られたり、あるいは凝着摩擦の力で引きちぎられたりします。そういった破壊に対するゴム自身の削れられまい、引きちぎられまいとする抵抗が、摩擦力になります。
 この掘り起こし摩擦はレース用タイヤの性能に大きく関わってきます。また、オフロードタイヤの性能を論じる時にも重要になります。